マンガは刺激を受ける最たるもののひとつ。オカモトショウ(OKAMOTO’S)インタビュー

2020.04.09  2020年04月09日 特集

今回はマンガ好きで知られるOKAMOTO’SのVo/オカモトショウさんをゲストに、マンガや音楽制作の裏側、4月15日発売のOKAMOTO’S初のベストアルバムとなる「10’S BEST」についてお話をお伺いします。

無造作に読み始めた作品がどんどん面白くなっていくのが楽しみのひとつ

マンガ好きになったのはいつ頃からですか?

昔から普通に読んでいてという感じですね。コロコロコミックから始まり、少年ジャンプとかも読んでいたりはしていたんですけど、一番読み始めたのは高校生の時。毎週週刊誌が出るたびに、少年ジャンプ、ヤングジャンプ、ヤングマガジン、少年チャンピオン、ヤングチャンピオンを買ってくる友達が何人かいて。大体授業中に読み終わると次が回ってくるみたいな。(笑)気づいたら高校2年生ぐらいで学校行っても暇だしマンガ読むかみたいな感じで読み始めて、そこから好きになりました。

マンガ歴長いですね。今でも毎週チェックしていますか?

チェックしていますね。

連載が新しく始まるものもあれば終わっていくものもあったり、結構入れ替わりが激しいじゃないですか。単行本で追うのもあるんですけど、それだと名前を知っているマンガ家さんに限られたり、人に勧められたりして読むやつばっかりで。

自分で好きなマンガを見つけたり、これ面白いかもなって思ったりするきっかけってある種、無造作にじゃないですけど、いつも読んでいる週刊誌で新しく連載が始まったから読み始めるみたいなのがきっかけになることが多くて。そうやって無造作に読み始めた作品がどんどん面白くなっていったりすると、他の人に面白いマンガだって教えてもらって読むことよりも、自分で見つけた感動とか絶対これ人気になる気がするみたいな。掘っている感じというか、そういうのがさらにワクワクするなと思って。そこが楽しみのひとつですね。

勧められたものを取りこぼさないようにしていくと、いいものに出会える

人にレコメンドされたマンガも読みますか?

読みますね。やっぱり人が勧めるって、読む理由になるというか。音楽もそうですけど、サブスクでAIに勧められるとか、YouTubeで次のオススメで出てくるとか、そういった機械的なものじゃないオススメじゃないですか。人が人に勧めるって。
レコード屋さんに行ってレコード屋の店主が、自分の全然知らないレコードをめちゃめちゃオススメってポップに出しているとか、そういう出会いって大切だなと。勧められたらそれを取りこぼさないようにしていくと、いいものに出会えるんじゃないかなと思って。だから人に勧めてもらえるとすごい嬉しいし、大事に読んでみようと思います。

最近面白かったマンガを教えてください。

『ラブラブエイリアン』というマンガは結構目から鱗というか。普段全然読むタイプのマンガじゃないんですよ。女性のリアルな会話劇で。女の人に「これめっちゃ面白いよ。男の子も好きだと思う」って勧めてもらったんですが、読んだらたしかに面白い。“リアル風”ってよくあるけど、めっちゃリアルで。絶対昨日、話していたことそのまま描いてるだろうなみたいな。(笑)

マンガを読むときってどんなことを考えていますか?リフレッシュしたい時?

毎週追っている量が量なので。(笑)気を抜くと追いていかれちゃうから、読もうと思って読んでいるのかもしれないです。でも音楽を聴く時は自分もつくる側だからこそ、もちろんリスナーの一人でしかないし、音楽というものの大ファンなんだけど、同時につくる視点でも聞いちゃうので。

そうじゃなくて、マンガってどうやって描いたらいいか検討もつかないものだし、本当にピュアに読者の一人として、ファンとして読んでいられるものって意味では、気を抜いて息抜きに読んでいる感じはあるかもしれないです。

いいものに出会った時の気持ちを思い出させてくれる

今注目しているマンガはありますか?

眉月じゅんさんの『九龍ジェネリックロマンス』ですね。ヤングジャンプで連載されていて、この間1巻が出たばかりなんです。それは始まった時からめっちゃ面白いなと思って。

ラブストーリーで、30代の男女の愛の物語の描き方がまずうまいんだけど、それにプラスしてちょっとSF要素みたいなのが入ってきていて。SF好きとしては心もくすぐられつつ、楽しく読んでいますよ。マンガとしてすごい面白いなと思って、はやるだろうなという気がしています。

人生観や音楽活動に影響を与えたマンガって今までにありますか?

例えば少年マンガを読んでいて努力とか友情みたいなことで胸を熱くするようなことがあったとしても、自分の音楽とか人生に友情とか努力が入ってくるというよりかは、その物語を追っかけていた一人として「あ~、良かったね」って思う気持ちのほうが大きいですね。影響を具体的に受けていることはそんなになくて、これを読んだからこういう歌詞が書けたということはあんまりないですね。

ただ、自分がそうやって、ファンの一人として感動できるようなものづくりに出会えることって、すごくフレッシュな気持ちになれるというか。この曲をどういうアレンジにしたらいいかなとか思っている時に、ヒントにはなるというか。ちょっと抽象的ですけど、マンガを読んで感動できたことを、俺の音楽を聴いて同じように「あ~、いいな」と思ってもらえたらいいなっていうふうには思うので。
こういう気持ちを忘れちゃ駄目だよね、みたいな。いいものに出会った時の気持ちを思い出させられるような部分はありますね。

そういった影響の受け方もあるんですね。

単純に好きなものがあるというか、夢中になれるものがあるのは人生ですごく大事だなって最近改めて思うようになって。自分は最初何かに感動して夢中になったりする経験が音楽でしたけど、その次にはマンガや絵、映画や小説があったり。人がものをつくって、それに感動する、その感動を受けたことがある人って、たぶんどこか自分の心の門みたいなのをこじ開けられた経験がある人だと思っていて。

何かに感動しすぎるぐらいしたことがある人って、一個アンテナが多くなっている気がしていて。そういう人って、自分の好きなものを分かっているわけじゃないですか。自分の好きなものを分かっていると何がしたいかとか、何か起こった時に自分の判断基準みたいなのがあるんでしょうね。だから「周りの人がこう言っているけど、私こう思うんだよね」とか。

なるほど。自分基準ですか。

そう。自分の基準でやる事って、感動とまではいかなくても人に何かしらの気持ちを与えると事ができると思うんですよね。俺は自分がそういう感動を受けたからこそ、人にも自分の音楽で感動を与えられたらいいなって。マンガは刺激を受けるものの最たるもののひとつというか。

曲作りの時に意識していてることってありますか?伝えたいメッセージとか。

正確にいうと、俺はこういう人でこういうメッセージを伝えたいってこと以前に音楽が好きすぎて。ライフワークとしてのアウトプットがあって、その時々でコンセプトというか言いたいことが変わっていくタイプなんですけど、でもその感動を伝えたいって思いがあります。

マンガでも「めちゃめちゃ作者の個人的な思いを書き出しているな」みたいに思う瞬間があって。共感するって意味じゃなくて、言っていることがすごく理解できて分かっちゃうっていうか。俺も自分が考えていること、自分しか考えていないようなことを曲に出したい気持ちはあるかも。もっと美しい景色を写真に撮ったほうがいいんじゃないかって思うけど、自分の散らかっている部屋の写真が、実はどこでも見られない景色だったりするっていう気がしていて、そういうのは意識しているかもしれないですね。

デビューしてからの10年間の中で、曲作りで変わった部分は・・・?

最初は音楽をやりたいっていう憧れだった。好きだったから音楽がやりたいし、こういう音楽が聴きたいと思うほうが強いというか。だからある種のフェチズムじゃないけど、「自分が聴いていて好きなものを自分でもつくりたい」って思っていたところから、徐々に「結局自分の汚い部屋が一番自分の個性だ」なんていう気持ちになっていって。今はだからそういうところにオリジナリティがあるだろうし、俺にしか出せない。

この人しか出せないよねってやっぱり強いと思うんですよ。絶対それぞれ違うものがあるから。それは、やっていくうちにどんどん芽生えてきた、ある種の欲ですね。自分を見てほしいみたいな。そこは変わっていったところかなって思いますね。

感動する気持ちが曲作りの原点ということですか?

たぶんそう。すり減るところはあるんですよ、たくさん。すり減るし、いろいろ変わってくる部分はあるんですけど、根本のところって変わっていないんだって。それでも自分も変わっていてもおかしくないなって思っている部分でもあるけど、変わっていないんだと思って嬉しかったですね。

同世代の人がかっこいい音楽を作り出している今が楽しい

10年目、他のバンドは気になったりしますか?

なります。めちゃくちゃ楽しいですよ。

最近は同世代が増えてきて楽しい反面、悔しい気持ちも数倍になるけど。いい音楽に年齢はもちろん関係ないんだけど、そこに対する嫉妬とか…。嫉妬っていうと変ですけど、「あぁやられた!めちゃめちゃいいこの曲」って思った時の「やられた!」っていう感じは、同じ時間だけ生きていたのにこんないい音楽作れているってことは、俺にもチャンスがあったはずなのになっていう意味で。やっぱりそれってすごい楽しくて。

10年前は、周りに同世代がほとんどいなくて。孤独な闘いみたいな気持ちもあったんですけど、今は周りを見渡すと同世代の人がかっこいい音楽をたくさんつくってて。だって普通にKing Gnu、Suchmos、Official髭男dismこのあたりは同年代だし。10年前からやっているから、周りからは今37ぐらいの年齢だと思われているので。(笑)

ファンとの絆を感じることができた

ベスト盤アルバムはどんな思いで作ったんですか?

デビュー10年だからベスト盤つくるかっていうのはありつつも、ベスト盤にすごく興味があったかというと実はほとんどなくて。実際やってみたらサブスクで自分達でプレイリストを組むのとは違う意味合いがあるなって。

今までのアルバムで入っていた曲がベスト盤で曲順が組み替えられることで曲の価値がもう一段階上がったような気がして。それはすごくベスト盤を出して良かったなと思ったのと、今回選曲をファン投票にしたんですよ。アーティストが今、かっこいいと思っているモノとファンが好きなモノって一致しないことが多いと思うんです。それが、ありがたいことに俺らが想定していた選曲になってて。ファンの人とコミュニケーションがこんなに取れているのってなかなかないんじゃないかなと思ってすごく嬉しかったですね。

そういう意味での絆も感じたし、さらにその曲たちの価値づけをして世にもう一度送り出せることはすごく嬉しいです。

ベスト盤の中で思い入れのある曲はありますか?

Disc2が俺らがセレクトしたやつで、それの1曲目がSTORES(ストアーズ)のCMにもなった曲なんですけど、『Dance To Moonlight』という曲ですね。

去年、初の武道館ライブやHELLO WORLDというアニメ映画の主題歌もやっていて、そういったコンセプトがある程度決まっている曲を作りきったあとに、ただ自分達がつくりたい音楽をつくってみたらできた曲がDance To Moonlightなんです。

新曲というのもあるけど、すごく思い入れがあるので聴いてみてほしいですね。

OKAMOTO’S『10’S BEST』特設サイトはこちら

【プロフィール】

オカモトショウ(OKAMOTO’S)

1990年生まれ、ニューヨーク出身。 OKAMOTO’Sのボーカル担当。
2010年3月、「S×SW2010」に日本人男性としては最年少での出演を果たす。
そのまま全米6都市を廻るツアーをおこない、5月に1st.アルバム『10’S』をリリース。
デビュー当時は年間平均100本を超えるライブを展開し、海外公演等も積極的に実施。


2019年1月9日には8枚目となるオリジナルアルバム「BOY」を発売し10周年イヤーを迎え、6月27日には初の日本武道館ワンマンライヴ「OKAMOTO’S 10th ANNIVERSARY LIVE “LAST BOY”」が開催された。
2020年4月15日には初のベストアルバム「10’S BEST」をリリース。
続く5月には、「90’S TOKYO BOYS in HALL “History”」と称し、東名阪にてホールTOURの開催が決定しているなど、10周年イヤーとしてますます加速を続け精力的に活動を続けている。


その他、2018年よりNHK教育テレビ「ムジカ・ピッコリーノ」のベルカント号・船長、ジュリオとして出演中。

インタビュー:NANASE / 撮影:堅田ひとみ

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